コクハクチュウムチュウ

コクハクチュウムチュウ

滴る汗が波乱の渦を持って、鼓動に押し寄せてくるのを、只今絶賛感じてるNowなのだ‼︎

厳密に言うと、私は好きな男の子と横をならんで歩いているわけで…

今までリア充死ねやゴラー的な文句しか言ってこなかった私にとって、何をすればよいのかわからない状況なのである‼︎

いやたまたまなの…たまたまなんだから!

帰り道、いきなり誘われて適当な会話をしながら帰宅しているんだけど、

なんかコレヤバイ⁉︎

Air

- 1 -

ついに二人っきりになった。
告白くるよこれは。
彼が告白した瞬間抱きついちゃおうかな?なんて考えながら彼を見ると視線がぶつかった。
「俺、前から好き…」
キター。私にやっと春が来たこれでリア充だ。
「…な人がいてさ」
え!何?誰の事、私じゃないの。一体何の話?
「どんな風に告白したらいいのかな?お前ってモテるじゃん。そういうの慣れてるだろ?」
私はモテたことないわ。心の中で叫んだ。

nyanya

- 2 -

「そんなこと私だって知りた……じゃなかった。なんだって私に聞きなさい!恋の駆け引きのハウトゥーなんていくらでも教えてあげるからさ、あははー♪」
…とか言っときながら、いったい何を言ってあげれば良いんだろう私⁉︎彼が失敗しても知らないよ⁈私の責任じゃないよね‼︎
思わず言いかけた本音を慌てて飲み込んで思い切り作り笑い。
「なあ、やっぱ告白って直接言った方が良い?後、どんなシチュエーションがお勧め?」

kam

- 3 -

うわっ、いきなりガチの質問⁈それ一番アドバイスしくじったらマズイやーつー!
本音の私は右向き左向き、汗を噴き出し悶絶していたけど。

三次元では能面なくらい平静を装って、わざとらしく顎を摘んでみたりしていた私は気付いた。
彼が気恥ずかしげに赤面していることに。
か…可愛いじゃん!反則すぎ‼︎
その状況を引き延ばしたくて、調子に乗った私は彼に大胆にも逆に質問をしてみた。
「ねえ、誰の事が好きなの?」

おやぶん

- 4 -

彼は照れくさそうに答えた。

「隣のクラスの三好さん」
「マジィ?!」

学校一の美少女で有名な、三好さん?!
今まで何人もの男どもが告白して、爆死したというあの?!

……いやいや、流石にそれは無理があるんじゃないかなぁ。
いくら彼の顔立ちがそこそこいいとはいえ。

「やっぱり、君も無理だと思う?」

途端に彼の顔が曇る。私は慌てて、話題を変えた。

「何で三好さんのこと、好きになったの?」

- 5 -

「夢を見たんだ、三好さんの…彼女から突然告白されて、付き合って…で、目が覚めたらスゲェ心臓バクバクしてて。今まで気にもとめてなかったのに、それから気になるようになってさ」

はぁ?何それ⁉︎男ってホント単細胞‼︎

「ねぇ、それじゃもし夢に出て来たのが私だったら、私を好きになってたりするんじゃないの?」

…うわっヤダ、私何言ってんだろ‼︎

彼は、慌てるわたしを真っ直ぐに見つめて言った。

Ra

- 6 -

「…実はさ、お前も夢に出てるんだよ。告白をOKした俺を見て泣いててさ?俺、嬉しいやら悲しいやらで、そのまま目が覚めるんだ。勝手だけど気になるじゃん?つまり、お前に相談したのはそういう事」
まさか私も夢に出てたなんて…
でもこれで彼に発破をかけて成功したら私泣くんだろうな…
ある意味正夢とも言える。

決めた

「じゃあ、こうしようか。まず私が好きな人に告白するから、それを見て告白するか決めたら?」

スミオ

- 7 -

「へえ、お前も好きな人いたんだ。分かった、ガンバ」
に、と笑う彼に、思わず心臓が高鳴った。火照る顔を、夕陽がいい感じに隠してくれる。グッジョブ、夕陽。
はやる心臓を抑え、息を整えて、意を決して口を開いた。
「…っ、ずっと好きでした!その夢、正夢にしてくれませんか!!」
彼の瞳が見開かれる。予想だにしていなかったというように。その後の数秒の沈黙がやけに長く感じられた。
少し経って、返事が聞こえた。

ごん

- 8 -

「いいよ、付き合おう」
私はふっと顔を上げた。夕陽に照らされた彼の影が、道路に長く伸びている。
あまりに優しい顔だった。
涙が溢れた。
私の人生でいちばん幸福な瞬間だった。

──X年後。

「三好さん、結婚するんだって」
「へえ」
「未練とかないの?」
「別に」
「もし|あの時《・・・》、告白したのが私じゃなくて三好さんだったらどうしてた?」
彼は少しだけ考えて、笑った。

「もちろん──逆夢にしていたさ」

.

- 完 -

作品情報

コクハクチュウムチュウ

#9468

リレー期間

12年10ヶ月