セレモニー花火の間違いであれ

セレモニー花火の間違いであれ

爆発音

『またか…いい加減懲りねぇのかアイツはぁ!?』

部屋の扉を開けるとうっとりした表情の…悔しいが美人と言わざるを得ない女、由奈がいた。

こいつは爆弾魔である。それも爆発に対して興奮する意味のわからない性癖を持った変態だ。

『聞いて!今日の子はね?緑の混じったオレンジ色の綺麗な炎だったの!ねぇ!綺麗じゃない?ねぇ!』
興奮に頬を赤く染めたまま話しかけてくる。

本当に話しを聞かない女だ

阿餅子(あべし)

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と言っても彼女、もとい我々は犯罪者集団ではない。
きちんと法に則って爆発物を取り扱う、クリーンな会社だ。

だが、彼女の爆発物に対する執着は凄まじく…
「…あのさ、今回君に頼んだのは、ビル解体をする際の爆破位置の設計で、戦隊ヒーローものの爆破アクションじゃないんだけど…」
「だあって、普通に壊したって面白く無いじゃないですかぁ〜」

…いつか本当に犯罪を起こすんじゃないかと、いつもヒヤヒヤものだ。

hyper

- 2 -

『由奈さん。きちんと経費の範囲内で最大級の爆破を披露する辺り、こだわる場所間違ってますよね〜。』

経理部としては有難いけど、とまだケツの青い新卒が鼻の下伸ばしながら呑気に言いやがる。最近の若ぇ奴は!危機管理ってもんがなってねぇ!いや、悩みの種は由奈だけじゃねぇ。

『やぁ由奈。今日も素敵だったよ!』

出た。我が社第二の爆弾魔め!

Rose teddy

- 3 -

爽やかな笑顔で現れたのは、開発部のエース・神楽坂だ。
「今日の解体現場の映像、最高だったよ! 倒壊の瞬間に立ち上る黒煙と火花……まさに美術品の域だね」
「でしょー! 神楽坂さんなら分かってくれると思ってました!」

由奈と神楽坂が「どの角度の爆破が最もロマンがあるか」などと、目を輝かせて熱弁を振るい始めている。
熱苦しい。実に熱苦しい。

悠生

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そんなある日、熱苦しい社員をさらに熱くするビッグな仕事が我が社に舞い込んだ。

「国会議事堂ですか?」
「ああ、国からの依頼でな。ギャラも桁違いだ」

そう自慢げに話しているのは、自称・発破業界のキング、毒島社長だ。

「あれ歴史的建造物ですよね」
「老朽化で耐震性が限界値を超えたらしい。建て替えだってよ」
「でも…」
「でももクソもねぇ! 依頼主はメモリアルな爆破解体をご希望だ。準備にかかれ!」

hayaswitch

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それから数日、会社中が慌ただしかった。
由緒ある場所で爆破が見られると、変人組は連日大はしゃぎ。花火大会じゃねえぞ。

「あれ?変だな」
経理の新卒━━葉山が例の解体依頼書を手に首を傾げる。

「この依頼、本物ですよね?」
「……社長に聞け」
嫌な予感がする。

“rapid”ゆりあ

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俺は由奈、葉山と社長室に来た。
依頼書と仕様書を手に由奈が聞いた。
「この依頼にこの火薬量、少な過ぎでは?」

社長は薄く笑っている。
「社長?」
「それは大丈夫」
いつの間にか神楽坂が後ろにいた。
「僕が開発した新型爆弾なら一発でOKさ」
由奈は神楽坂をじっと見る。
「ありえない。一発で国会議事堂を倒壊させるなんて絶対無理。貴方達、何を企んでいるの?」

「やれやれ」
社長が立ち上がった。

なかのり

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「国民に見せつけてやるんだよ。国会議事堂が派手に消し飛ぶ……その瞬間をな」

「……じゃあ、あの桁違いの予算、本当に全部使い切っていいんですね……!?」

「ねぇ神楽坂さん!一発で解体可能な新型爆弾ってどういう仕組みなの!?ありえなくない!?教えて!」

俺は、いつかこの人たちが本当に犯罪を犯すんじゃないかと、ヒヤヒヤしていた。

「……お前ら、準備はいいか?」

社長が低い声で言った。

おちび

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「うちの力見せつけてやろうぜ」
社長の宣言に狂喜する変態どもがいた。
爆炎、黒煙、そして瓦礫すら芸術的に計算された完璧な爆破。世界中で映像が再生され、社会現象となるだろう。

「社長本当に大丈夫なんですか?」
「これが本物の依頼書だ」
社長が書類を持っている。そこには確かに、担当者の印があった。
ただし、発行元の欄だけは真っ黒に塗り潰されていた。

プロは自社の解体までド派手にやるのかもしれない。

aoto

- 完 -

作品情報

セレモニー花火の間違いであれ

#34783

リレー期間

9年6ヶ月